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小骨のイロイロ


心に引っかかったイロイロについての独断的感想文です。
by unza-rie
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猫にかまけて

昨日買った町田康の「猫にかまけて」
今日、オフだったのが災い?して一気読みしてしまった。
う、文庫本じゃないのに、高いのに、
でも町田さんの本に関しては、少しずつ読むなんて
芸当は最初から出来ないとわかっていたけど‥

この本いつもの町田さんの語り口とは少し違っていた。
彼独特の特徴的な言い回し、それはなくはないけど、
この本では、素直すぎる位に素の部分が出ていて、
とてもあったかい。

今までの小説でも、かなり自分にオーバーラップする様な
私小説的な
いわゆるダメ人間と言うか、一般的な社会生活が出来ない
人物をいつも主人公に、ダメぶりが加速していったり、
壊れていったり、狂って行く様がまざまざと書かれているのだけど、
この本に関しては、フィクションはないと本人が書いている様に、
家族として、共同生活者としての猫との様々な出来事を
とても素直に綴っていた。

町田康はもちろんだけど、猫好きな私は
表紙のかわいい猫の写真を見た途端に買う事を決めたのだったが、
読んでみると、素敵な猫との生活エピソードとだと思っていた私に
とっては、それだけではない内容にがつんときた。

私だって、何度も猫を飼いたいと思って
ペットの飼えるアパートを探したり、猫だと鳴き声で
わかってしまうので、こうなったらウサギでもいいな。
と、ウサギを飼っている人に話を聞いたりもしたのだったが、
今現在も過去もまだ飼った事がない、踏み切れないのには

やはり、普通に生きても、猫も犬もウサギも
自分より先に死んでしまうのであり、
そうなった時の心の準備が未だに出来ないから
なのです。

そう、生き物を飼う、一緒に暮らすというのには
それなりの責任と覚悟が必要なのであって、
犬はまだヒモをつけて散歩等も出来るし、
主人に忠実なので、そうされる事も特にストレスには
感じないだろうが、猫は元々自由で人間にしばられることを
好まない。
賃貸でいくら飼える所があっても、外に自由に出したりは
なかなか出来ないだろうし、避妊手術などの問題もある。
田舎で広い庭や敷地がある所ならまだしも
今の自分の環境ではやはり踏み切れないものが
あるのだ。
それよりももし死んじゃったら‥と思うとやっぱり
そこまでの覚悟は出来ないので、近所の野良を見つけては
にゃーっと挨拶したり、にやにやして眺めていたり
たまに触らせてもらえた時などは、うれしくて仕方ないのだ。

死という事に関して、人間だろうが猫だろうが
何も変わらない、愛するものを失う悲しさに
違いはないとこの本を読んで改めて感じた。
最初はくすくす笑い、そして涙が止まらなくなり、
またくすくす笑い、また号泣。
でもそれぞれの猫達の人格(猫格)がとっても
面白く、本当に生き生きと書かれていて、
それぞれを一人(一匹)の共同生活者として
受け入れ、尊重している町田さんの姿がとても微笑ましく
暖かい。
ん〜やっぱりいつかは猫を飼いたいな。
by unza-rie | 2004-12-10 20:08 | 書籍
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